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第13回 村岡ダブルフルウルトラランニング(100km)参戦記

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[ Day 0 ]
 1年前の大会が終わった時は『誰がもう二度と出るか!』だった。

和池でおばちゃんから貰った貝のお守りを見るたび,エントリーを避けている自分に対して何とも言えない嫌な気持ちが湧いてくる。それが『やっぱりもう一回』に変わるまでには半年程かかったような気がする。ある日気がつくと,ニヤニヤしながらランネットでクリックしている自分がいた。不思議なものです。単に悔しかっただけなのか,それともこれが村岡の魅力なのか。有言実行,その日から周囲の仲間にに参加を触れ回って自分を追い込んだ。

 やるからにはしっかりトレーニングしなくては立ち向かえない難コース。上位のランナーは2時間半あたりで走るスピードランナー達ばかり。そんな人達のあとにつくには何が出来るだろう。

 意識したのはいかに連続して一定の中程度の負荷(過度ではなく)を長時間心肺に加えるか。幸い僕はトレイルが好きだし,近所のホームコースにもいい坂道とトレイルがある。できるだけ普段からそこを走るようにした。基本的に週に1回は坂道を入れた20km程のトレーニングを入れる。実家が岡山県北の那岐山麓なので,帰省時には那岐山・滝山・広戸仙縦走トレイルランをしたり,はっぴーずのトレラン練習会にも参加,たまたまご縁もあって比婆山スカイランも出場した。結局,登山道でのランニングが一番効果があったように思う。参加者に聞いてみても,トレイルラン+トライアスロン,富士登山競争参加,フルマラソンに本格的に取り組んでいるとかの返事が返ってくる。

 昨年の村岡後,僕はとある10月のハーフレースで故障した。それまで多少は普段のジョグのペースが速すぎるかなと思いながら,股関節の痛みが少しあるのを無視していたのだが,このレースの最後で景品(かたがプリン)に目が眩み,実力以上にラストスパートしてしまったのだ。(結局前のランナーも抜けなかったが入賞)皆さん,景品に惑わされてはいけません。(笑)と言いながらも村岡の景品(米?牛カレーセット?)が欲しい自分との葛藤があるのですが・・・。

 故障も癒えて春のフルを3時間ちょっとで走れる程度に回復しても,長距離には不安が残る。そう毎週ロングは出来ないのだが,何とか時間を作って50km走を今年に入って3回,70kmのウルトラマラニックにも一度参加した。(ギックリ腰で参加したので,親睦を深めに行ったようなものだが)ウルトラは参加費用もかかるので年に1回と決めているし,事前の大会で練習という手は使えない。普段は早朝の10km~14kmのジョグ,月に数回の20~30km走が中心というごく普通のメニュー。ジョグノート記録を見ていると,今年は1週間前からの疲労抜きがうまくいった気がする。

 実は直前金曜日,風邪をひいていた。今夏はハーフで亡くなった同世代の方もいるし,無理はしたいけどしたくない。あまりに酷かったら潔くDNSにしようと思っていたが,睡眠時間をしっかりとったら思ったより回復したので,効き目の薄い風邪薬を服用して土曜の昼まで様子を見ていた。最初行こうと思っていたはっぴーずの土曜朝練にも参加しなかった。

[ Day 1 ]
一緒に前日土曜日から現地に乗り込むのは,昨年も一緒の師匠SK氏。御年59歳である。昨年ウルトラにハマって長距離レースを転戦,今年は「おんたけウルトラトレイル」を19時間で完走している恐ろしい大学教授である。僕がまだ本調子ではないので,歓迎会はパスさせてもらい,早めに宿にチェックイン。スキーでも毎年利用の常宿「かどや」である。決して豪華宿ではないのだが,見慣れたオーナー夫婦の笑顔があるだけでも緊張感も和らぐもの。師匠はハチ北温泉に行ったが僕は部屋でゼッケン準備したりしてリラックスする。

パンフレットを見ていると,去年の顔ぶれ・・・ん,「吉田」?ん,「県庁?」あちゃ~,またひとつ特産品セットへの道が遠のいた。(笑)今年は女将さんが配慮してくださり,我々2人はランナー食(盛りモノ?)ではなく鍋をいただく。
まだまだ体調に不安がある僕は,今年は師匠の寝酒に付き合わず先に寝させてもらう。9時前だったろうか。僕は亀田の試合の結果を知らない。

[ Day 2 の1]
 当日朝2時45分起床。よかった,心配していた熱もダルさもなく出走は出来そうだ。食堂で他の参加ランナーと共に粛々と朝食をとる。僕と師匠はこういったときよく喋るのだが,皆さん眠いのか緊張なのか。宿に挨拶して4時に車を出す。昨晩からの雨がまだ少し残っている。もしかして雨レース?

 暗闇のなか,続々と中学校の駐車場に車が集まってくる。カラフルなウェアのランナーが集まる先には早朝から煌々と輝くグラウンドの照明。今年はスタートもゴールも隣の小学校になった。集まったランナーは結構軽装だが,皆さんおしゃれだ。独りで黙々屈伸する者,久しぶりの再会を喜ぶ者,走友会で賑やかな人たち,そしてよく見るのがカップル参加の方々。

荷物を預ける直前から雨がかなり降り出す。ウェアの選択が難しいが,気温が低くないので長袖は着ないチョイス。急いで持参の透明ゴミ袋を取り出し,雨合羽代わりのポンチョを作る。参加者はスタート直前まで校舎で雨宿りだ。

ブルーシートが敷いていある校内でトイレの列に並んだが,土足で入らねばならず少し気が引けた。いつもは子供たちが頑張って掃除しているはずなので申し訳なかった。ブルーシートは無視して泥のついたシューズでウロウロするランナーもおり,みんな心に余裕がないのかな・・・と少し寂しかった。ところで何も着ていないランナーは寒くないのだろうか,元気がいいなぁ。最初は数名の知り合いを探すつもりだったが,降雨でバタバタしているのでやめた。

いつもの仮装の有名な方,今年は八代亜紀に扮しておられ,スタート前から「雨雨降れ降れもっと降れ~私のいい人・・・」とハンドカラオケで熱唱,お陰で雨足は強まった。(笑)

Yashiro


「ではゴールで」「今年は去年ほどは待たせんよ」

スタート5分前SK師と短い言葉を交わし,集団中央に並ぶ。(SK師は最後尾で準備。すでに後ろ向き)

Sk


ペース確認用に今回もダブル計測。ガーミン405(右腕)とランニングウオッチ(左手)。昨年は擦れて痛かった左手は百均で買ったリストバンドの上から装着。乳擦れ・靴擦れ対策もOK。

Start

カウントダウンと共に予定通りジャスト5時出発。雨はやや小降りだが気温は最適,ランナーは皆楽しそうだ。太鼓の音と沿道の大声援に送られながら,ストレッチも何もせずに静かに走り出す。飛び出すランナーも多く,集団に飲まれたまま走って時計を見るとキロ4分30。これで最初から走っては身体がもたないので、やや落としてじっくり後ろからウォームアップラン。雨は降るし暗くて見えにくく、操作ミスしてスタート10分後くらいにガーミンを止めたままにしてしまう。すぐ気がつくが、どうせ電池は最後までもたないし、あくまで5kmや1kmのペースがレース前半に計測できればいいのだ。(後半はどうせコントロールするほどの余力はないのだし)


暗いうちはいつものバイク隊の皆さんが道を照らしてくれる。これは本当に有難い。実はバイク隊の皆さんは安全確認だけでなく、山岳部では走行音で熊を追ってくれ、ランナーに声をかけてずっと励ましてくれているのだ。ゴールの照明がつく時間帯には、足元の危ないランナーを数台で後方からずっと照らしてくれるのだ。最終ランナーが届くまで。本当に頭が下がる。

今回の目標は大きく3つ。『坂も歩かない』『特産品詰め合わせゲット』そして『全エードで食事』である。(実は途中で『スタッフの皆さんに感謝の声』が入るのだが・・・)とにかく食べないと後半どうにもならないので,タイムは犠牲にしても第1エードから積極的に飲み物・食べ物を頂く。今年は近隣で熊がよく出るとのことだが,途中で早々に熊よけ鈴ももらった。


今年携帯したのはスパイベルトに入れたアミノ酸顆粒4袋,そのバンドに鈴は付けた。個人的には好きではない「シャンシャン」という鈴の音を立てながら朝の兎和野路を走り,88kmと分かれる高坂口ではアンパンを食べる。走りながらだとなかなか口で溶けなくて困ったが口の中で溶かして喉に押しこむ。年に2~3回は来るハチ北スキー場へ向かう上りもかなり抑えて登る。いつもは車で来ればほんとにすぐだが,自分の脚だとなんと遠いのだろう。車ってすごいよね。


今年は残す体力の感覚として蘇武岳30,和佐父峠15,長楽寺近辺15,一二峠40くらいのつもり。一二峠は僕にとってはある意味特別な存在。さあ,蘇武岳が終わるまでは極力温存しよう。抜かされても構わないし昨年みたいに蘇武岳で消耗しては最後まで持たないのだから。


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ハチ北ゲレPを越え,下りに入ると民宿街に入る。各宿の従業員さんが仕事の手を休め,道路で玄関で,そして2階からも応援してくれる。かどやのみなさんは最初僕が分からなかったらしく,通りすぎてから「あ~!!」と叫び声を上げる。写真が撮れなかったらしく,あとで44kmのお客さんを送迎するついでにわざわざ車を止めて写真を撮ってくれた。(撮ってくれたのがこれまた美人ランナー,これだけでオジサンは嬉しい)昨年ここらですい~と抜いていった橋本さんはまだ来ない。調子はいいが自分が飛ばしすぎなのかと心配になる。


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和池ではいつものおばちゃんに貝のお守りを貰う。おばちゃんはランナーを見つけると貝を入れたビニール袋持って走って近寄ってくる。

「今年ももらえた~! ありがとう,頑張るよ!」去年と同じおばちゃんの笑顔がそこにはある。お守り作り三代目の13年分の想いもそこにある。

一旦R9まで降下して再び登り。今度は猿尾滝(38.6km)に向かう。今年こそはそうめん「流し」を食べると気合を入れる。(食べることばかり・・・これはマラソンか?)この猿尾の滝往復は100kmランナーと対向するので,自分の位置がよく分かるのだ。滝までの上り道で3~4名ほどのランナーに出会う。皆速いしお互いの挨拶もカッコイイ。「吉田くん」(僕は直接の面識はない)が颯爽と下っていく。上位ランナーは素麺食べたのだろうか・・・(余計な心配)

猿尾滝エイドはゼッケンと県名を放送してくれるので元気が出る。エイドに着くと早速お願い。
「すみません,1杯だけ流してください!」「1杯?何杯でも流すで!(お父さん,水,水,という声が聞こえた)」ご夫婦だろうか,とてもローカル感あふれてよろしい。
水も止めていたのに無理やり頼んで流してもらい,今年は猿尾滝で至福のひとときを過ごすことが出来た。そうめんを流してくれるウルトラマラソン,他にあるだろうか?

ほぼフルの距離の作山エイド(39.85km)で折り返して下りに入ると後続ランナーに出会う。結局10番手位だが,トップ4人以外はまだほとんど差はない。お互いに声を掛け合いながら,再び猿尾へ戻る。「お世話になりました~!」の声に対して,みなさんが大声援。

「また来年もお世話になりに来るね~!」ありゃりゃ,言っちゃった。
「西ももさん,素敵~!」のオバチャンたちの声にニヤけながら脚をすすめる。

本当にこの大会,エードで元気が出る。

素麺エイドがない88kmと再び合流してしばらく行くとついに蘇武岳上りが始まる(44.5km)。その直前のテントゲートで迎えてくれる子供達。この飴をくれた子,去年もいた気がするぞ。蘇武岳は抑えて,最後の一二峠に余力を残す作戦なので,無理に前を抜こうとせず心拍に気を使いながら少しづつ登る。ランナー応援の立て看板もじっくり堪能,今年は全員のメッセージを読んだ。参加人数分のこの設置作業だけでもすごい労力だと思うのだが,村岡スタッフの意地が感じられる。(参加人数が増えると無くなるかもね)


歩幅は変えず内股気味で,左右の尻に身体を乗っける感じ。「腕は腰横でしっかりシャープに後ろに引け」とはランニングクリニックでの金哲彦さんのアドバイス。耀山近辺で2人抜かれる。一人は千代岡さん?この方はフルが速そうな走り。もう一人は愛知の橋本さん,この方はウルトラランナーの走りだ。ついに来たか!2人ともストレスなくグイグイ登っていく後ろ姿は惚れ惚れする。天候は晴れ,気温は低めで,風邪の影響か汗をかいたシャツが冷たく感じられるのだが,走るには絶好のコンディションだ。今年も耀山牧場で牛が迎えてくれるし,蘇武岳から反対側のこれから走るコースもよく見えた。結局,体力にはかなり余裕を持たせて50kmが4時間23分の通過。昨年より少しいい程度だが余裕が格段に違う。   

この蘇武辺り(約50km)から射添会館まで,エイドになると常に追いついてくるランナーが2人いた。止まると追いつくので気持ちが悪い。エードの休憩時間も少し気になるので,最短時間で最大カロリーの摂取を目指す。(笑)とにかく食べる飲む。プリンやヤクルトは一気飲み,バナナとオレンジは瞬時に食べ,おにぎりか梨をつかんで走りだす。「お世話になりましたっ!」これが言えなくなると消耗した証拠だ。


蘇武からの下りはほぼ一人旅。歩く100kmランナーを2人ほど抜いただろうか。声はかけるが気持ちを考えると,話し込むのは逆に失礼かと。いろんな想いがあって歩いているだろうから・・・。

44kmと合流するとすぐにいろんな出逢いがあって元気をもらった。合流後すぐには岡山の有名ランナー夫婦,森川夫妻。夫妻は昨年は100km参加で歓迎会でも会った。次は両津巡査・レイコちゃんに扮したはっぴーずのさっちー&ムーさん。さっちー写真を撮ってくれた! 自分では撮れないから貴重だね。こういう一瞬がホント元気出るのです。


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最後は春の吹屋マラニックで出会ったshoさん。shoさんはわざわざ走って一旦追いつき,「西ももさん!」と声をかけてくれた。出会いが,人の輪がどんどん広がる。決していつも顔を合わす訳ではないが,こんな仲間が今日もどこかで自分と同じように走っていると思うだけで嬉しい。

和佐父峠はこの皆さんに元気をもらったようなものだ。ありがとう!


射添会館(73.3km)では預けた荷物からアミノバイタルのみ取り出す。(今回のドーピングはこれを4袋,かなりダメージが違う)素麺,寿司,カルピスなどをガブのみしてすぐスタート。やっぱり最後に掴むのは梨! そのまま大仏殿のある長楽寺を目指す。心踊る至福のおはぎ接待が待ち受けている。坂をあがり門をくぐって大仏殿へ。ランナーは拝観無料であるが,大仏の周りを一周するマラソンが他にあるんだろうか?大仏殿内部をぐるっと一周すると観光客が応援してくれる。応援の家族なのか,緑のゼッケンがここまで75km走っていることを知っている人もいる。

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さて,おはぎ接待にやってくると大勢の先客で賑わっている。腰を降ろして食べるつもりはないので,おばちゃんに「済みませんが半分だけもらいます,お茶もらっていいですか?」と頼み一口頬張ると,目の前にいたのはあの44km美人ランナー。「あ~!同じ宿の人!」出会いって面白いですね,ここでまた元気が出た。横を見ると相棒の男性が・・・残念。


おはぎを頂いて再び正門に来ると,後続の100kmランナーが来る。階段の段差でつまずいてよろけたのを見て申し訳ないが少し安心。(笑)明らかに疲労している。心で「勝った」とニヤけた。今年は土産店のご夫婦が甘酒を出してくださるのを知っていたので,冷たい生姜入りを一杯頂く。生涯で一番美味い甘酒だと確信した。ここが私設エイドだと知らないランナーも多いので,皆さんぜひ頂いて欲しい。おじいちゃんはあなたを待っています。


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ここからはまた登りが続く。坂の途中に畜産農家が多いのか,コースに消石灰(消毒剤?)が撒いてある所がある。口蹄疫の影響はまだこんなところにもあるのだ。もちろん持ち込む媒介としての可能性があるのは我々ランナーなのだろう。

このキツイ丸味近辺の登りでは,井戸の水か近くの湧き水を自宅軒先で提供してくださる家が一軒ある。長楽寺でいくら補給してもこの辺りで汗も滴り落ちるので,今年も期待していたらあったあった! 今年はご夫婦とその娘さん(らしき若い女性)が元気に汲んでくださり,一気飲みでありがたく頂く。カルキ臭の全くない,極上の冷水だ。この美人の娘さんはゴール後も僕の関係者内でちょっとした話題になった。(西ももの好みの美人!)ぜひとも来年も拝顔したいものだ。そのために参加してもいい。(笑)村岡区の皆さん,これは立派な財産ですぞ。


この辺りで僕を抜いていく44km(?)女性ランナー2人。この二人しばらく僕の前で静かなバトルを繰り広げていたのだが,ちょっと一気に抜く元気はないので後方からそのペースのみ頂く。こういう元気のもらい方もアリだな。そうするうちに和太鼓の音が遠くからドコドコと聞こえてくる。昨年カレーを断念した81kmあけぼの山荘にやってきた。

今年も胃が疲労はしているが,どうやらカレーは食べられそう。慣れない手つきの高校生男子にコーラを頂き,さあて,カレーだっ!

「去年食べられんかったんよ~。ふた口分だけ盛ってもらえます?」

反応がない・・・。

「あの,カレーもらえますか?」少し間をおいて出てきた・・・。

ついに悲願のカレーを食べ,(笑)あと残すはお好み焼きか。

 あけぼの山荘からは急な下り。あと20km程なのだが,もうかなり脚にダメージがきていて下りは一歩一歩がジンジン響く。がんばれ,あと少しでアイスクリームのある熊波エイド(85.1km)だ,と自分を奮い立たせる。はっきり言って,この辺りだとタイムなんかより次のエイドで何を飲んで食べるかが目標になってきている。ここからは昨年同様,44km,88kmランナーに影のようについてはエイドで抜くの繰り返し。SS区間では抜かれるが,エイド休憩が長い人が多く,いろいろ食べても結局僕の方が先行する。
 
 そしてついにやってきた小北保育所(91.2km)。最後の一二峠越えが始まる。が,ここで何か忘れ物をしたような気が・・・。そうだ,お好み焼き見たっけ? どうやら見落としていたらしい。結局,完全制覇とは言えなくなってしまったのは残念だ。今年は最後の峠にまだ少し余裕がある。44km女性ランナーに引っ張ってもらっては並走して挨拶,次に男性ランナーに引っ張ってもらって挨拶して僕が先行する。やはり僕は上りの方が得意なのかもしれない。

 去年僕はこの坂で泣いた。

「何でこんなこと」
「歩こう」「痛い」
「もう厭だ」
「二度とウルトラなんか出ない」

恥ずかしいことに,ランナー応援の立て看板一枚一枚がお気楽な言葉に見え,立腹していたのだ。人は極限状態で本性が出るらしいが,所詮僕もその程度のものだったのだ。今はなき『しまなみ海道ウルトラ』の快適さから,ウルトラをなめきっていたのかもしれない。

 今年は違った。

一歩一歩にまだ力が込められる。足元ではなく顔を上げてカーブの先が見える。看板のメッセージを一枚一枚読みながら,自分の応援に読替えが出来る。そのメッセージの相手を想像したりしている。身体は極限にしんどいが,何故か澄んだ心の笑う僕がいた。

ランナーにとっての村岡の魅力,それはゴールの賑やかさではなく,この最後の一二峠にある。

それぞれの距離を旅してきた全てのランナーが,最後にこの坂で苦しむ。レベルは関係ない。その時それぞれの脳裏によぎるものが,この村岡ダブルフルの真髄なのだ。もちろんランナーの内面だけではない,ここまで来るのに支えてくれる地域の方々,応援の人々,家族,ランニング仲間。笑顔・声援,それら全てがこの最後の寂しい峠越えに集約されている気がする。


短いけれど,僕らランナーにとっては特別な峠なのだ。

泣く者,笑うもの,立腹するもの。再チャレンジを誓うもの,永遠に走らないと誓うもの。

最後のエイド,一二峠(95.5km)が見えてきた。顔を上げると拍手が聞こえてくる。

「やった~着いた!う~,し~んどい!」

スタッフオススメのものをちょこちょこ頬張り,好物のコーラを一気飲み。やはり梨を一切れつかみ,最後に深々と一礼。

『ごちそうさま! お世話になりましたっ!』

僕にとっての『第13回 村岡ダブルフル100km』はここで終わっている。


結果9時間9分13秒。順位は7位。あとで6位の橋本さん(今年は失速?)とは1分差だと知るのだが,記録や順位よりも一年経っていろんな面で自分が成長できた満足感の方が大きかった。

そう,大満足。

来年も出る?

結果はどうなっても,出るよ。


来年一緒に苦しみませんか。一二峠で自分の頭に何が浮かぶか知ってみたくないですか?

でも,もちろん何も準備せずに出ると後悔しますよ~(笑)


Sobuzaka


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コメント

ムーさん

どこにコメントしてるんですか・・・・・・
ついに「素麺」目指しますか。
あんまり早く到着すると,ツユの準備が出来てないので
飛ばし過ぎないようにしてくださいよ。(笑)

自宅近辺だと,中山・矢坂つなぐだけでも
十分準備になると思います。

僕も使い込んでますよ,山塊。

今年はついに 100に行きます。   去年 88に泣いたのに 咽元過ぎてます。(笑) 

たいして準備はできないかもですが、出来るだけ 中山の人になろうと思ってます。 

会えて嬉しかったのと,衣装で元気をもらえたのと・・・ごちそうさまでした!
そー言えば言いましたね,『山の神が脚に降りてきた』(笑)

そのうち集めて「西もも語録」として出版したいと思います。

ムーさん来年は88kmどうです? フルのレースとは違い,時間をかければ大丈夫ですよ!
さっちーもだまして同行してもらいましょう。「とっても良いエステエイドが途中にある」とか・・・。(笑)

お疲れ様でした。  
必死で 亀のように登っている隣を 兎のごとく駆け抜けていった時 同じ生き物とは思えませんでした。( ̄○ ̄;)!
それにしても 素晴らしいタイム。  ゴール後の「神が降りてきた」は名言です(笑)

私は なんとかショートでゴールできましたので できれば 来年「ダブル」と心に決めたいと思うこともしばしばあります。  また来年も来たい! って心から思えた大会でした。ホント素晴らしいレースですよね、坂さえなけりゃ。
 

GBDさん,こんにちは。コメントありがとうございます。

もしかしてJNでも登録されてますか?もしそうなら後でリンクさせて下さいね。
今後ともよろしく!

いいでしょう,村岡。マラソンじゃあないですよね,これはガマン比べですよね。でも,スピードランナーでなくても,頑張っただけ楽しめる大会ですね。もちろん「あんまり走ってないけど完走できた,エイドが楽しかった」でもいいとは思うんです。1000人いれば1000通りの楽しみ方,苦しみ方があるウルトラ大会だと思います。一人では走れないな,って思いませんか?

来年,少しでもカレーが美味しく食べられるよう,一緒にぼちぼちやりましょう!

今年も、素晴らしいタイムでしたね !!

村岡、凄いレースですね、これは。初めての参加でしたが、とにかく、コテンパンに、叩きのめされました。もう、滅茶苦茶、苦しくて、楽しくて、どうしても、来年も、出ずにいられません。西ももさんのタイムには、遥かの遥かに及びませんが、来年は、少しでも、まともに走れるようになっていたいです、私。

まさちゃん,Road toナイスおじさまはまだまだ遠いのよ・・・。
ライバルに格上げはもう少しかなぁ。でも地道に頑張るね!
まさちゃんの職人魂をお手本に・・・。

西ももさん、そうです、最初と途中の河原で組んだものです。西ももさんの鍛え上げられた体幹にびっくりしました。

うるとらももさん、お気づかいありがとうございます。その節は、直前のキャンセルで申し訳ありませんでした。足は少しづつ回復しています。

私自身は、走歴は二、三年で、まだまだ初心者の域をでないものですが、お二方のような豊かなランニングライフを送りたいものだと、いつも思っています。

いつか、どこかの大会などで見かけたら、ぜひ、声を掛けさせてください。

お好み焼きを食べ忘れたことは悔しかったですね。
西ももさんの苦しそうな1枚の写真が100キロの過酷さを物語ってます。
でもこの写真はとってもナイスおじさまです。
タイムも凄いなあ!
僕はウルトラを走ったことがないのでコメントが難しいですが、「ウルトラへの道」はとても厳しく過酷であることが読み取れました。
そして次なる大きな目標、防府で「サブスリーへの道」を極めてください。
西ももさんの素晴らしさに負けないよう、僕ももう一度サブスリーランナーに復活できるよう精進します。
お互いに良きライバルであり友として!!

ももさん,奥様との和やかな朝のひとときが頭に浮かんで微笑ましいです。ぜひ是非出ましょうよ。百戦錬磨のももさんなら,何を感じるでしょう?

僕も無理がきかなくなりつつあります。身体が言うことをきくうちにやっておきたい項目もありますよね。

西ももさん、西ももさん、プリントして読ませていただきました。
ミールさん、脚の調子はいかがですか?paper
読ませていただいてわかったことがあります・・・西ももさん、あなたは面食い(麺食い)だ、きっとそうだ。
まぁ、冗談はおいといて、あの辺りの道の激しさを思い出しました。私はもう何年もレースには出てないので、長い距離は一人で走るだけです。なので、西ももさんのような頑張りはなくなっちゃいました。レースの良さは自分の限界を広げるところにありますもんね。
一人で走ってばかりではいけませんね。

ということで、私も来年、村岡に参加してみよう!と言ったら、隣で「ほほほぉ・・」と高笑いをされました。

最初と途中の河原で組んだ方でしょうか? お久しぶりです。
この長文,読んじゃいましたか(笑) 「意味」は後からくっついてきた感じなのですが,端的に言えば所詮「根性試し」なのです。たかがアマチュアのスポーツですが,1つ頑張ったなりに色々見えてきましたし,自信もつきました。

骨折,回復が心配ですし,衝撃与えるのが怖いですよね。じっくり取り組んで下さいね。

来年,友達誘ってぜひ参加して下さい。大会の雰囲気は好きでも,コースは好き嫌いがはっきり分かれますけどね。

近隣の大会で見かけたら声かけて下さいね。

初めまして。というか、金哲彦さんのクリニックでペアでストレッチ等させていただいたものです(覚えてらっしゃらないかもしれませんが・・・)。

7位の名前と「参戦記」の写真で、西ももさんがあの時の方とわかりました。

「参戦記」、読ませていただきました。西ももさんの走りに対する姿勢に感銘しました。素晴らしい文章でした。金さんの著書に「走る意味」というのがありますが、西ももさんの「走る意味」も伝わってきました。

実は、私も吹屋マラニックに参加予定だったのですが、直前の交通事故で左足首を骨折して、断念してしまいました。

今、少しずつ走り始めています。

来年は、私も村岡ダブルフルに出られるよう頑張ろうって、「参戦記」を読みながら思いました。元気づけられました。ありがとうございました。


自己レスです。

今年はゴール後,SK師が帰るまで,いろんなランナーの応援を校門近辺でしました。

反応出来ない人,笑顔で返事を返す人,すごいラストスパート見せる人,ウォーキングの村岡人,握手,ハイタッチ。

会場を離れるぎりぎりまで,声をかけて帰りました。少しは力になれたかな?

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