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2012年1月15日 (日)

働かないアリに意義がある:長谷川英祐【メディアファクトリー新書】

Ants


タイトルを見て『あ,俺にも意義があるんだ』と苦笑しながら買い込んだ人も多いと思う。

『働かざるのも喰うべからず』と聞いて,アリとキリギリスの話を思い浮かべる人は多いと思うが,研究を通じて見る限りこれは社会からすると大いなる不利益であり,『働かざるもの「も」喰うべし』なのだ。

少し前まではビジネス書みたいな扱いが多かった本書だが,今読んでみると現代社会を取り巻く状況を昆虫たちの生活を通して見ることにより,斬新な角度から読み解くことが出来る。

生物学に興味を持ったのは高校時代。実は授業はあまり本気ではなく,興味のある単元ばかり図表や参考書を楽しくめくっていたので,センター試験の前の詰め込みは大変だった。

当時気になったのは『遺伝子』。この概念でいろんな事が説明できるんだ,と感動したものだ。

その影響から大学時代,リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』(Richard Dawkins : The Selfish Gene 1976)を読んで,単純な僕は【遺伝子はすこぶる利己的であって、自分の延命のためならどんなことでもする】というメッセージにいたく飲み込まれた。この本にはDNAやRNAのことはほとんど述べられておらず,当時最新の動物行動学の観点からダーウインの考え方を応援したような感じだった。

でもこの2冊がなければ,文系の僕がES細胞やiPS細胞のことに興味を持ったりすることはなかったと思う。


さて,本書『働かないアリに意義がある』は,社会性昆虫(アリ・ミツバチなど)の最新研究から,進化生物学者である著者が行動と遺伝子の研究を通じて分かってきたことを,人間社会になぞらえて解説してくれている。

ただ,それぞれの章における中盤の遺伝子の話はかなり複雑なので,文系の人なら学生時代生物を選択していなかったら,何を書いているのか全く分からないかもしれない。

しかし,各章末にはまとめが書いてあるし,分からない所は飛ばして読み,章の最初と最後の部分だけゆっくり読めば十分著者の意図は汲み取れるはず。

生物の本だと思わず,ビジネス書・社会学・経営学・恋愛学の本だと思って読んでもいいだろう。それなりに得るものはあるはず。


勝手に極論すると『無駄のないシステムは,長期的には破綻する』である。(笑)

ではそれは何故なのかを,人間のように社会を形成する昆虫の行動研究を通じ,遺伝子研究の力も借りて可能なかぎり説明してくれるのである。

『働かざるのも喰うべからず』と聞いて,アリとキリギリスの話を思い浮かべる人は多いと思うが,研究を通じて見る限りこれは社会からすると大いなる不利益であり,『働かざるもの「も」喰うべし』なのだ。

『喰うべからず』社会はダーウインの進化論(自然選択)をベースにした短期効率・利益を追究する勝ち負け基本の現代社会そのもの。このまま続くとアリの研究と同じように人間コロニーは滅びるかもしれないのだ。


「そんな虫けらの研究,おかしなこと言うな,そんなんじゃあ会社が潰れる。仕事のできない奴は即刻クビじゃ,うちのチームにはいらん。正社員あは少なくして派遣で安く雇っていつでも切り捨てるようにしておかないと・・・」っていう考えの方,考え方変えようかな・・・って思うかもしれませんよ。

逆に,自分は役に立ってないし,社会のお荷物だ・・・なんて悲観している方は,「自分も必要なんだ!」って元気が出るかもしれません。

ちょっとユックリ読まないと,仮定・理論・説明が難しいのですが,科学的・生物学的な説明は飛ばし読みしても核となる著者の主張は読み取れると思います。

著者,長谷川氏の科学者としてのスタンスは非常に誠実でニュートラル。

分かることと,分からないこと
説明できないこと,出来ること
理論と仮定

これらにはとても誠実で好感が持てますね。
思い込みは少なく・2010年時点での科学的な嘘はかなり少ないと思う。

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