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2012年2月27日 (月)

『日本は世界5位の農業大国』(浅川芳裕:講談社)

Agri

自分が見聞している農業や食料の状況と,メディアや各省庁,政府が発表している内容がどうも違う。ということで読んでみたが,盲目的に思い込んでいた事がたくさんあるんだな・・・と反省。国産作物信仰も反省。

読後は元気な日本の農業に拍手を送り,スーパーでの買い物も視点が変わってしまった。

『常識的』に言われている内容に真っ向から挑んでいるので,読んでいて最初は本当にそうなのかと不安になるのだが,著者は農業月刊誌の編集長・副編集長を務めており,世界レベルで国内外の農業の現状を把握しているし,きちんとデータを示してくるので,次第に安心感が増してくる。感覚的・心情論的な展開ではないのです。

元々は,スーパーに並ぶ国産野菜と政府発表の食料自給率がどうも感覚的に違うので読んでみたのだが,読めば読むほど国内農業に対する考えが変わってくる。

『農業』というと,後継者不足だの高齢化だの自給率の低下だの,食料安全保障だのとネガティブなタームが並ぶ。2011年から12年にかけての豪雪の影響は特殊として除外すると,大規模に展開している農家は元気が無いわけではないし,花卉農家はそれなりに儲かっていそう。県内の道の駅などにある青果物販売所は行ってみると大盛況。一方農村部の米作の担い手は,自分の父親も含めて高齢化が進んでいるはずだが耕作は継続中。政府の農業政策は相変わらずバラマキを報道するし,見ていてとてもアンバランス感があるのだ。これらの元凶はというと

農水省だ。

詳しくは本書を読んでもらいたいが,結局自分たちの存在意義を継続するために活動しているようにしか見えないという事実が本書から浮かんでくる。

食料自給率の低さ
農業人口の減少,高齢化,衰退

これらの用語のカラクリが本書ではわかりやすく明らかにしてくれている。壮快だ。

『農業経営者』と『疑似農家(ほとんどの農家はこれ)』の区別。これも自分の中には今までなかった。

問題は農水省関係者が使命感なしに業務を遂行して取り仕切っており,『日本の農業は弱い』という前提にたって活動しているからである。今の農水省主導だと,将来は危機的だといえる。

日本の農業は衰退しているわけではない。むしろ元気だし,農業技術は世界に輸出可能なものらしい。

本書の見所は,後半の『提言』にある。単なる行政批判のみ行うのではなく,元気な民間がどういうようにこれから活動し,自分たちの農業経営をどうしたら有利に展開して行政を変えることができるのかに筆が及んでいるのだ。

行政(農協も含めて)は「まず自分たちの存在ありき」。それを変えてゆくのはやはり元気な民間農業経営者なのだ。近所の爺ちゃんはどんどん農業をやめていくが,それが日本農業の衰退に直結しているわけではない,元気を出そうというのが筆者の路線だ。

実は現在のような農業展開閉塞感は,60~70年代に産業(工業)界も経験しているらしく,民間が声を上げて省庁を突き動かした経緯もあるらしい。

やはり,お上任せの時代ではなく,これからは元気な民間の時代なのだろう。規制が・・・とブツブツ言っていると行政はつけあがるだけなので,組織化して要求を突きあげなければいけないのだろう。(いずれにせよ,行政・官公庁は大変な時代になったが,本来の国の姿はそうであるべき)

本書の内容ではないが,同様の規制などによる閉塞感は製薬・医療機器業界などにも存在するようだ。

諸規制が多すぎるため新薬の開発がしにくく,日本で開発していた欧米の企業が日本オフィスを撤退,韓国・中国にその拠点を移している。

医療機器業界も,技術的には日本のお家芸のような気がするのだが,意外に規制が多くて開発しづらく,核心部の手術ツールなどはなぜか海外製が多いそう。介護医療機器も思いのほか市販化が一般人に見えてこない。実はお掃除ロボットに日本製がない(東芝は海外OEM)のも同様の理由が介在している

結局政府系諸機関が規制をかけ,業界が訴訟などを怖がって萎縮してしまっているのが問題なのだろう。

民間が組織化して政府を突き動かし,ロビー化して法案を通していくのも悪くない。

各省庁,官僚を変えるのも一手。官僚(候補の学生)も農業界も産業界も,もっともっと若い人材を海外に送って経験を積ませて視野を広げる必要がある気がする。

我々も若者も,インターネットで世界を旅したつもりになってはいけません。

バラマキ行政・保護規制行政よりも,そのお金を10%人材育成にかけられたら,10年後,20年後に展望が見えてくるのにね。

でも,この『未来展望のある人材の少なさ』は,江戸時代も明治から以降も何も変わっていないんだよね。

民族性と片付けるか?


やっぱり辛い王道キムチの改良にこだわる民族なのか。(笑)

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