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2013年1月23日 (水)

「文明が衰亡するとき」 (新潮選書) 高坂 正尭

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タイトルは堅いが
これは名著!

「文明が衰亡するとき」 (新潮選書) 高坂 正尭

http://www.shinchosha.co.jp/book/603709/

ふとした本つながりで読み始めたのだが,ローマ・ベネチア・アメリカという国家の栄枯盛衰について的確に分析している。とても1981年に出版された本とは思えず,名著は時代を経ても色褪せないという好例である。高坂氏の冷静な歴史俯瞰力には驚くばかりで,マクロ視点で細部の経済分析をするような感覚は全くない。それでいて,30年前に日本の未来への提言を残しておられるのだが・・・・・。

文化・諸制度は,一般民衆に普遍化した時点で衰退の道を歩んでいるという点は,現代の流行や諸文化にも当てはまっていると思う。

ローマは繁栄しすぎたが為に巨大化し,自分の体重で潰れた。

ベネチアは資源を持たぬ通商国家として栄えたにもかかわらず,商売(売るもの)に小回りが利かなくなり,活路を探してカンフル剤を打ち続けたが衰退した。

アメリカは本書の発刊当時の経済的,軍事的勢いは巨大であったが,その巨大さが故に国内的にも対外的にも問題を抱え始め,自問自答しはじめていた。ここはローマに通じるところがある。

日本はベネチアと同じ通商国家タイプだと西もも@は思う。2013年現在で苦悩している貿易・領土問題は,ベネチアが大繁栄の末期に抱えていた状況と重なる。歴史を学ぶことの重要性はここにあると思う。実に歴史から考察できる共通項が多い。

決して日本が滅びると予測したいのではなく,貿易で国家を成り立たせてきたベネチアがどう苦悩し,ジレンマを感じていたのかを考えることが,これから日本という国が歴史地図に名前を残し続けるヒントになるのだと思う。

そのキーはいったい何か。

筆者は「変化への対応力」だと30年前にアドバイスした。

これはどの団体・国家にも当てはまることなのだが,まさに今日本が直面している問題の一つなのは興味深い。

本書を読んだ人によってとらえ方は違うだろう。アホかお前はと言われても,西もも@が思うキーは「しなやかな平和外交」である。周辺の国とやり合って対立し軍事強化し,どこか特定の属国となり,経済駆け引きで疲弊するのではなく,八方美人と言われても世界の国々,アラブやアフリカの方面とも穏便にやっていこうと苦悩するのが日本のスタイルではないか。

「柔軟性」と言い換えてもいい。

グローバル化という言葉でカテゴライズして安心するのではなく,自分から変わる柔らかさが大切なんだろうと思う。

と言いながら堅いこと書いているが,ぜひとも企業の幹部の方にも読んでもらいたい。なぜローマやベネチアが栄華を謳歌し,そして衰退していったのか。そこは企業経営・団体運営の舵取りに通じるものがある。

久々出会った名著,保存版です。
30年間ずっと版を重ね続けているのにも納得。

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